「昔から歯がグレーっぽい」「歯に横縞のような色がある」「普通の黄ばみとは違う気がする」という場合、テトラサイクリン系薬剤による変色について調べる方もいます。
しかし、グレーだから、縞模様だからという見た目だけで、テトラサイクリン歯とは判断できません。この記事では、テトラサイクリン変色歯とは何か、なぜグレーや縞模様が生じることがあるのか、ホワイトニングで改善する可能性、どのくらい時間がかかるのか、そしてSELFDUCKで実際に相談されたケースを分けて解説します。
テトラサイクリン歯はホワイトニングで白くなる?
最初に結論からお伝えします。「テトラサイクリン歯はホワイトニングをしても白くならない」とは断定できません。臨床研究では、テトラサイクリン変色歯でも漂白によって色調が改善したことが確認されています。医療ホワイトニングとは?美容ホワイトニングとの違い・効果・種類を解説で解説しているような漂白剤を使う方法が、テトラサイクリン変色歯にも応用されてきた歴史があります。
ただし、一般的な黄ばみに比べて長期間の処置が必要になる場合があります。また、完全に均一な白さになることを保証するものではありません。
そもそもテトラサイクリン歯とは?

テトラサイクリン歯とは、テトラサイクリン系抗菌薬が歯の形成期に取り込まれることで、歯質に変色が生じたものを指します。過酸化水素ホワイトニングとは?歯が白くなる仕組み・効果・注意点を解説で解説しているような表面的な着色とは異なり、歯の内部の構造に関係する変色とされています。
ここで誤解しやすい点があります。テトラサイクリン系抗菌薬を服用したことがある人全員に、必ず変色が生じるわけではありません。また、成人になってから一般的にテトラサイクリン系抗菌薬を服用した場合に、同じような変色が必ず生じるというものでもありません。歯の形成期という特定の時期が関係しているとされています。
テトラサイクリン歯はどんな色になる?
文献上、テトラサイクリン変色歯には、黄色系、茶色系、グレー系、帯状・縞状に見える変色など、さまざまな見え方が報告されています。ただし、見た目だけでテトラサイクリン歯かどうかを診断することはできません。
グレー・縞模様ならテトラサイクリン歯?
違います。グレーや縞模様は、テトラサイクリン変色歯である「可能性の一つ」にすぎません。他の原因による変色も考えられるため、気になる場合は歯科医院で確認することをおすすめします。SELFDUCKスタッフが、見た目だけで「これはテトラサイクリン歯です」と診断することはありません。
普通の黄ばみとテトラサイクリン変色は何が違う?
一般的な外因性の着色と、歯質内部に関係する変色は区別して考える必要があります。コーヒー・お茶・タバコなどによる表面的な着色についてはコーヒーで歯は黄ばむ?お茶・赤ワイン・タバコによる着色とホワイトニングを解説で解説していますが、これとテトラサイクリン変色を同じものとして扱うことはできません。原因も、色の出方も、改善のしやすさも異なるとされています。
表面の黄ばみが取れてもグレーが残ることはある?
あり得ます。表面の着色と、もともとの歯質の色調は別の要素だからです。SELFDUCKでも、グレー系の色調があるお客様で、黄ばみ・表面的な着色が明るくなった一方、もともと見えていたグレー系の色調は残ったように見えたケースがあります。
ただし、これはSELFDUCK代表による外観上の観察にすぎません。「内部のテトラサイクリン変色が残った」と診断しているわけではありません。歯の内部の変色という点では、神経のない歯はホワイトニングで白くなる?黒ずみ・変色の原因と対処法を解説で扱っている変色とも、原因は異なりますが「表面だけでなく歯の内部が関係する変色がある」という考え方は共通しています。
研究ではテトラサイクリン歯も白くなっている
テトラサイクリン変色歯に対する漂白の効果を調べた臨床研究をいくつか紹介します。
【研究①】Matis BA, Wang Y, Jiang T, Eckert GJ. Extended at-home bleaching of tetracycline-stained teeth with different concentrations of carbamide peroxide. Quintessence Int. 2002;33(9):645-655. PMID: 12666888
テトラサイクリン変色歯を対象に、10%・15%・20%の濃度のカルバミド過酸化物を用いた自宅での漂白を比較した研究です。異なる濃度間で色調の変化が確認されています。ただし、SELFDUCKで使用している薬剤・濃度・使用時間・施術期間とは条件が異なるため、この研究の結果がそのままSELFDUCKでの結果を保証するものではありません。
【研究②】A randomized controlled trial of home bleaching of tetracycline-stained teeth. J Dent. 2017. PMID: 28478214. DOI: 10.1016/j.jdent.2017.05.003
テトラサイクリン変色歯のある26人を、15%カルバミド過酸化物のトレー群(12人)と6.0%過酸化水素のストリップ群(14人)に無作為に分け、3か月間追跡した研究です。両群とも、開始時と比べて統計的に有意な色調改善が確認されました(p<0.05)。1か月目の時点ではトレー群がやや優位でしたが、2か月目ではストリップ群が優位になり、3か月終了時点では両群に差はなく、治療に関連する有害事象も認められませんでした。これもSELFDUCKの施術条件とは異なる研究です。
【研究③】Leonard RH Jr, Haywood VB, Eagle JC, Garland GE, Caplan DJ, Matthews KP, Tart ND. Nightguard vital bleaching of tetracycline-stained teeth: 54 months post treatment. J Esthet Dent. 1999;11(5):265-277. PMID: 10825882
10%カルバミド過酸化物を用いて6か月間の漂白を行ったテトラサイクリン変色歯の患者を、54か月(4年半)にわたり追跡した研究です。12人中10人(83%)が、治療後の色調について目立った変化がない、または他者に気付かれない程度のわずかな変化にとどまったと報告しており、大きな後戻りや治療に関連する有害事象は報告されていません。ただし、これも「一度白くすれば永久に戻らない」ことを保証する研究ではなく、条件や個人差によって結果は異なるとされています。
テトラサイクリン歯は何回で白くなる?
医療ホワイトニングは何回で白くなる?効果を感じる回数・頻度・期間を解説で解説しているような一般的な黄ばみの場合と異なり、テトラサイクリン変色歯については一律の回数を示すことはできません。研究では、3か月・6か月など、一般的なホワイトニングより長期間の漂白を検討したものがあります。したがって、「3回で白くなる」「10回で白くなる」などと断定することはありません。
普通の黄ばみより時間がかかることがある
テトラサイクリン変色歯は、歯科文献の中でもホワイトニングが難しいケースの一つとして扱われています。しかし、難しいということは、不可能という意味ではありません。長期間継続することで色調が改善したとする研究もあります。
【実例】昔からグレー・縞模様があると相談されたお客様

ここで一つ、重要なお断りをしておきます。このお客様が、歯科医院で「テトラサイクリン歯」と診断されたことを、SELFDUCKでは確認できていません。ご本人にも、テトラサイクリン系抗菌薬を服用した明確な記憶はありませんでした。
したがって、これを「SELFDUCKのテトラサイクリン歯症例」と呼ぶことはできません。正確には、テトラサイクリン変色歯の可能性も含め、歯科医院で原因を確認する選択肢を案内した、グレー・縞模様のあるお客様の事例、ということになります。
ホワイトニングすると黄ばみは明るくなったが、グレー感は残った
SELFDUCK代表が外観上確認した範囲では、ホワイトニングによって黄ばみや表面的な着色は明るくなりました。一方で、もともと見えていたグレー系の色調は残りました。
ここでも重要な注意点があります。「内部のグレーは白くならなかった」と断定しているわけではありません。SELFDUCKでは、変色が歯のどの層に由来するかを診断していません。
10回以上継続すると縞模様が以前より目立ちにくくなった
このお客様は、10回以上、根気強くホワイトニングを継続されました。SELFDUCK代表が見た範囲では、歯全体が以前より明るく見えるようになり、グレー・縞模様とのコントラストが弱まったことで、以前より縞模様が目立ちにくくなりました。お客様本人も、見た目の変化に満足されていました。
繰り返しになりますが、「テトラサイクリン歯が10回で白くなった」とは書きません。診断が確認されていない、あくまで一個人の事例です。
SELFDUCKではグレー・縞模様がある人にどう説明する?

SELFDUCKでは、グレーや縞模様が気になるという方に、主に次の4点をお伝えしています。
- ①通常より時間がかかる可能性がある
- ②完全に均一な白さになる保証はできない
- ③まず変化を見ながら進める
- ④原因が気になる場合や変化が乏しい場合は歯科医院へ相談
「テトラサイクリン歯ですね」とスタッフから診断することはありません。
最初から「白くならない」と諦める必要はない
研究では、テトラサイクリン変色歯でも漂白による色調改善が報告されています。ただし、通常より時間がかかる可能性を理解したうえで、結果を確認しながら進めることが重要です。
ホワイトニングだけでは十分に改善しない場合は?
重度の変色では、漂白だけでは希望する見た目まで改善しない場合もあります。歯科医院では、状態や希望によって、漂白以外の審美治療が検討されることもあります。
ラミネートベニア・被せ物という選択肢もある?
選択肢の一つとして紹介します。ただし、「テトラサイクリン歯ならベニアにすべき」とは言えません。歯を削る量、歯の状態、費用、長期的な管理なども関係するため、歯科医師と相談しながら決めることになります。被せ物・差し歯はホワイトニングで白くなる?セラミック・CAD/CAM冠との色の違いを解説で解説しているように、人工材料による修復・補綴にはホワイトニングとは異なる考え方があります。
天然歯をできるだけ保存しながら、まず漂白を検討するという考え方を扱った文献もあります。ただし、治療の順序をSELFDUCKが決めることはありません。
SELFDUCK代表からのメッセージ|テトラサイクリン歯かもしれないと感じている方へ
SELFDUCKの現場から

テトラサイクリン歯とホワイトニングFAQ
A
色調が改善したとする臨床研究があります。ただし、個人差や変色の程度による差があり、すべてのケースで同じ結果になるとは限りません。
A
一律の回数はありません。研究では、数か月にわたり継続して漂白を行ったものもあります。
A
見た目だけでは診断できません。グレーに見える原因は複数考えられるため、気になる場合は歯科医院で確認してください。
A
グレーの場合と同様に、見た目だけでは診断できません。帯状・縞状の変色にはほかの原因も考えられます。
A
ご自身の記憶だけで判断しないことをおすすめします。服薬歴だけでなく、歯の状態も含めて歯科医院で確認してください。
A
表面的な着色など、複数の要素が重なっている可能性があります。SELFDUCKでもそうしたケースを確認したことがありますが、その仕組みを診断しているわけではありません。
A
完全に消えることを保証するものではありません。目立ちにくくなったという事例はありますが、結果には個人差があります。
A
一律に決めることはできません。歯の状態や希望する結果によって適した方法は異なるため、歯科医師に相談することをおすすめします。
A
歯科医院で原因や治療の選択肢を相談することをおすすめします。
A
一律に推奨するものではありません。歯を削る量や費用、長期的な管理なども踏まえて、歯科医師と相談しながら決めることをおすすめします。
まとめ|テトラサイクリン歯でもホワイトニングによる色調改善は期待できるが、時間がかかる場合がある
- テトラサイクリン変色歯でも漂白による色調改善を示した研究がある
- 「絶対白くならない」は誤り
- 普通の黄ばみより長期間必要になる場合がある
- グレー・縞模様だけでテトラサイクリン歯とは診断できない
- 完全に均一になる保証はない
- SELFDUCKでもグレー・縞模様の相談実例がある
- その事例では黄ばみが明るくなり、10回以上継続後に縞模様が以前より目立ちにくくなった
- ただしテトラサイクリン歯と診断された症例ではない
- 変化が乏しい、原因が分からない場合は歯科医院へ相談
- 重度では別の歯科治療が選択肢になる場合もある
テトラサイクリン変色歯かもしれないと感じても、最初から諦める必要はありません。まずは歯科医院で状態を確認し、ホワイトニングによる色調改善を期待できるか、時間がどのくらいかかりそうかを相談することをおすすめします。歯全体の黄ばみが気になる場合の一般的な原因については黄色い歯はホワイトニングで白くなる?黄ばみの原因と白くなりやすい歯・なりにくい歯を解説でも解説しています。
出典
- Matis BA, Wang Y, Jiang T, Eckert GJ. Extended at-home bleaching of tetracycline-stained teeth with different concentrations of carbamide peroxide. Quintessence Int. 2002;33(9):645-655. PMID: 12666888 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12666888/
- A randomized controlled trial of home bleaching of tetracycline-stained teeth. J Dent. 2017. PMID: 28478214. DOI: 10.1016/j.jdent.2017.05.003 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28478214/
- Leonard RH Jr, Haywood VB, Eagle JC, Garland GE, Caplan DJ, Matthews KP, Tart ND. Nightguard vital bleaching of tetracycline-stained teeth: 54 months post treatment. J Esthet Dent. 1999;11(5):265-277. PMID: 10825882 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10825882/